シェフごはんコラム

伝統の味を日本人になじみやすくアレンジ♪陳建一氏の四川料理

日本人は中華料理が大好き。今回注目するのは、中華八大料理のひとつを担う「四川料理」。高温多湿で寒暖の差が激しい四川省。発汗をうながし健康を保つために、香辛料を多用した料理が多く、他の料理にはない独特の調味が特徴です。そんな“辛さの四川”は、酸(酸味)、辣(辛味)、麻(ピリッとしたしびれるような味)、香(香味)など7つの味で成り立ち、その複雑さが、誰もが虜になる奥深い味わいをもたらしています。

さて四川料理といったら、やっぱりこの方。あの陳麻婆豆腐をはじめ、誰もが知りたい人気レシピを赤坂 四川飯店」 オーナーシェフ 陳 建一さんに教えていただきました。

陳麻婆豆腐

陳麻婆豆腐

言わずと知れた四川料理の代表格。陳シェフの故父、陳 建民氏が日本に広め、いまや日本人がいちばん好きな中華料理といっても過言ではないほどポピュラーなものになりました。シェフのレシピのポイントは、なんといっても豆腐の下ごしらえ。「これ、本当に木綿豆腐?」と驚くほどのふるふるの食感に仕上げるには、水切りは厳禁。茹でるギリギリまで水に浸しておきましょう。また、塩をひとつまみ入れた熱湯で茹でることで、豆腐がよりやわらかく、崩れにくく、水分が出にくくなります。このひと手間は絶対に惜しまないように!

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鶏肉のスパイシー炒め

鶏肉のスパイシー炒め

四川料理には欠かせない豆板醤を使ったスパイシーな炒め物。豆板醤は、そら豆と唐辛子を主な材料としてつくられた発酵調味料。加熱すると風味が立つので、必ず炒めて香りを出してから具材と合わせます。ぱさつきがちな鶏むね肉は、低温の油でじっくり油通しをすることで、しっとりジューシーに仕上がります。ただし、油の中に入れるときには要注意。最初に鶏肉を入れてしまうと鍋肌にくっつきやすいので、野菜を先に入れてから、その上に一枚一枚のせるようなイメージで。肉の周りの色が変わったらかき混ぜてもOKです。炒めてからはスピード勝負。合わせ調味料はあらかじめ準備しておくのが鉄則です!

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卵とトマトの炒めもの

卵とトマトの炒めもの

四川料理の辛みが苦手、という方にもオススメなのがこのメニュー。たまご、トマト、万能ネギでつくるシンプルな炒め物。とはいえ、仕上がりに差が出るのがトマトとの向き合い方。トマトは加熱すると水分が出るので、その水分をいかに上手にとじこめるか、が分かれ目になります。トマトを強火で炒め、水分が出切ったところで水溶き片栗粉でまとめましょう。まとまったら、そのまま卵液へ一気に加えます。こうすると、鍋に戻したあと、短時間の炒め合わせですむので、たまごが固くなりすぎず、ふわとろに仕上がります。

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一度は作ってみたい、陳シェフの麻婆豆腐。辛みが苦手な方にはオイスターソースを使って甘口に仕上げましょう。「料理は愛情」と語る陳 建一シェフ。食べる人の「おいしい!」という笑顔を思い浮かべながら、一生懸命つくることが何より大切です。たっぷりの愛情をこめて、本場の味にいざチャレンジ!

文:一杉さゆり
写真:福田栄美子

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