シェフごはんコラム

出汁は和食の命!丁寧に引いた「白出汁が決め手の料理」

日本人がはるか昔から培ってきた伝統的な食文化、和食。その和食において、すべての基本となり心臓ともいえるのが、出汁です。日本人たるもの、一度はきちんと出汁を引いてみたいもの。食材によって数多ある出汁のなかから、今回は“白出汁”にフォーカス! 釜あげうどん専門店・根津釜竹店主 平岡 良浩さんに、うどん屋直伝の美しい白出汁と、それを活用した3品のレシピを教えていただきました。シェフのご実家はカツオ節屋とあって、昆布に3種類のカツオ節を合わせて出汁を引きます。それぞれのカツオ節の役割とセオリーをしっかり守って、麗しの白出汁の世界に飛び込んでみましょう。

うどん屋直伝 揚げ餅うどん

うどん屋直伝 揚げ餅うどん

白出汁を味わう料理として、王道とも言えるのがうどん。丁寧に引いた白出汁に、煮切りみりんと薄口醤油、煮切り酒を加えた上品なつゆは、旨味、酸味、塩味、香りのバランスが絶妙! そこに加えるうどんは、多すぎるかな、と思うくらいたっぷりの湯で茹でるのがポイント。麺を入れたら、湯を常に沸騰させ、湯の中でうどんが踊っているような状態を保つよう火加減を調整します。餅は、食べやすい大きさにカットして揚げることで、つゆとのからみもよく、かつ、香ばしさとコクもプラスされます。香味野菜もふんだんに添えて、ボリュームがありながらもぺろりと食べられる一品に。

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季節野菜の鶏そぼろ餡かけ

季節野菜の鶏そぼろ餡かけ

こちらはお酒のつまみにもピッタリの椀もの。香ばしく揚げた旬野菜に、白出汁を使った鶏そぼろあんをかけただけのシンプルな一品だけに、出汁の美味しさが際立ちます。酒・みりんは煮切っておく、鶏挽き肉は煮切り酒でほぐしておく、里芋は下茹でをしてから白出汁で煮ておく、といった和食ならではの手間をかけておくことで、段違いの仕上がりに。なんといっても鶏そぼろあんは、上品な白出汁にジューシーな鶏の旨味が加わって、残さず飲み干したくなるほどの美味しさ! さらなる魅惑の白出汁の世界を垣間見ることができるはず。

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大根サラダ

大根サラダ

白出汁を、さっぱりとしたポン酢にアレンジ。ポン酢との絡みをよくするため、大根は薄~く桂剥きに、繊維に沿って細~く千切りに。なめらかで、シャキシャキの食感が叶います。包丁さばきの練習にもなりますね。シンプルな一品ですが、シェフならではのひと工夫を加えているのがポイント。白出汁の旨味だけでなく、大根に昆布パウダー(グルタミン酸)と削り立てのカツオ節(イノシン酸)という、さらなる旨味の元を重ねることで、口の中で「おいしい!」が幾重にも寄せては引き、引いては寄せる、箸が止まらない仕上がりになります。ポン酢はサラダのドレッシングとしてだけでなく、冷や奴や鍋料理にも使えますね。

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今回ご紹介の白出汁は、昆布に含まれるグルタミン酸とカツオ節のイノシン酸という2種類のアミノ酸の相乗効果によって、劇的な旨味をもたらす合わせ出汁。さまざまな料理に使えるので、ぜひ習得しておきましょう。和食の基本である出汁を知り、出汁を活用する知識を得ることで、よりいっそう料理が楽しくなるはずです。昆布パウダーは、料理にふりかけにと活躍するので、作り置きしておくと便利ですよ♪

文:一杉さゆり
写真:千々岩友美

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