シェフごはんコラム
日本人にもおなじみ♪手軽に作れる「基本の中華」レシピ
茹でワンタン
その起源は紀元前ともいわれるワンタン。皮で餡を包み、茹でてからスープでいただく料理で、地域によって呼び名は変わりますが、現在では中国全土で食べられています。薄地で大きめの皮を使い、餡のなかに青菜などの具材を入れたものを「大きいワンタン」と呼ぶそう。意外かもしれませんが、餡は、手ではなく箸で混ぜることが最大のポイント。捏ねる、ではなく、混ぜる感覚で肉感を残す方が美味しく仕上がります。つるんとした口当たりで食べやすく、ボリュームもしっかり。サラダなどを一品プラスすれば、食事としても十分満足できそうですね。
揚げワンタン
同じワンタンでも、こちらは油で揚げる「小さいワンタン」。「小さい」といえど、カリカリの皮を楽しむ料理なので、大きめの皮を使うのがポイントです。餡は肉と長ネギのみ。包むときは、割り箸を使ってリズミカルに。皮に餡をおいたらくるっと巻きつけて、折って、キュッと絞りながら箸を抜く。何度か繰り返すとリズムがつかめてくるはず。餡を入れすぎると、肉に火が入る前に皮が焦げたり、皮がやぶれてしまうので入れすぎにはくれぐれも注意。パリッとクリスピーに揚げて、おやつやおつまみなどスナック感覚で楽しみましょう。これからの季節、ビールのお供にもピッタリですね。
家常豆腐(揚げ豆腐肉野菜の辛煮)
こちらも中国全土でポピュラーな、おふくろの味。「家常豆腐」の名のとおり、家庭で常に(よく)食べられている豆腐料理のこと。カリッと揚げた豆腐とたっぷりの野菜をスープで炒め煮したものですが、家庭料理だけに、地域ごとに手に入りやすい食材と調味料を使って作られているので、そのレシピは無限に存在すると言っても過言ではありません。シェフのレシピはこの料理の発祥でもある四川風。豆板醤の香りが食欲をそそり、オイスターソースのコクと旨味の効いたスープのおいしさに、もう箸が止まらない! ごはんのおかわりをたくさん用意して臨みましょう!
日本では、冬至には「ん」のつくものを食べる風習がありますが、中国南部では冬至にワンタンを食べる風習があるそうです。ワンタンも「ん」がつくので、今年の冬至はワンタンで迎えるのも良いアイデア。今回ご紹介したレシピはどれも家庭で手軽にできるものばかりなので、ぜひトライしてみてくださいね。
文:一杉さゆり
写真:千々岩友美