シェフごはんコラム

爽やかなハーブの香気薫る♪「基本のフレンチ・プロヴァンス」

抜けるような青空に、わたあめのような入道雲。照りつける日差しがまぶしい夏の到来です。日本では、社会人になると長い夏休みを取るのは至難の業ですが、フランスには夏を全力で楽しむ“バカンス”という素晴らしい習慣があります。今回は、バカンスの旅行先としてまっさきに浮かぶ南仏プロヴァンス地方の料理にクローズアップ。プロヴァンスに伝わる料理は、巧みなハーブ使いに特長があると言えます。今回は「キエチュード」荒木栄朗シェフに、南仏での修業経験を活かしたプロヴァンス料理のレシピを教えていただきました。

アーティチョークのバリグール

アーティチョークのバリグール

近年、日本でも見かけるようになってきた西洋野菜、アーティチョーク。フランスやイタリアでは非常にポピュラーで、プロヴァンスでこよなく愛されているのがこの料理。「バリグール」とはアカモミタケというきのこのこと。これをアーティチョークの花芯に詰めた料理のことをバリグールといいましたが、今ではアーティチョークを炒めてハーブと白ワインで煮た料理のことをこういいます。味のポイントとなるハーブは、乾燥だけでなく、フレッシュハーブを合わせて使うと香りの良さが格段にアップ! 特にマジョラムは、プロヴァンス感を演出するのに欠かせない香り。手に入ったら是非加えてください!

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干鱈とじゃがいものブランダード

干鱈とじゃがいものブランダード

ブランダードとは「かき混ぜたもの」という意味のプロヴァンス語が由来だといわれる、鱈とじゃがいもをペースト状にした料理のこと。南フランスの代表的な家庭料理で、南欧でよく食される干鱈を使っています。干鱈は牛乳で戻し、さらにハーブを加えた湯で煮ることで、生臭さがとれ、塩味もほどよくなります。保存のために塩分が強いものもあるので、戻しながら必ず味見をしましょう。干鱈がない場合は切り身の鱈でもOK。その場合は、牛乳で戻す必要はなく、ハーブを加えた湯で煮るだけ。バゲットに合わせたり、グラタンのように焼いたり、サンドイッチにしても美味! 白ワインと一緒に召し上がれ♪

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トロぺジエンヌ

トロぺジエンヌ

南仏コートダジュールのリゾート地、サン・トロペ生まれのお菓子。バターリッチなブリオッシュに、オレンジの花の香りがふわっと漂うクリームを挟んだもので、今では南仏だけでなくフランス全土で愛されています。もっとも特徴的なのが、オレンジフラワーエッセンスを使うこと。オレンジの花のつぼみから抽出したエッセンスで、プロヴァンスでは菓子の香りづけによく使われますが、日本人にはなじみが少ないので、好みが分かれるかもしれません。オーブンで焼いても溶けないカリッとしたあられ糖、ふわふわのブリオッシュ、なめらかなクリームと、スキップしたくなるような食感の楽しさを味わえるスイーツです。

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地中海の青いさざ波、きらめく陽光、四季折々に色を変えるハーブ畑・・・自然豊かで、どこをとっても美しい景観が人々を魅了する、憧れのプロヴァンス。実際に行くことができなくても、その土地を想いながら、その土地ならではの料理で自然の恵みをいただくと、それだけで愛着が深まりそうですね。  

文:一杉さゆり
写真:榊智朗

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