にら(韮)

にら(韮)

東アジア原産で、ヨーロッパにはない野菜です。日本でも「古事記」で加美良(かみら)や「万葉集」に久々美良(くくみら)と記載があり、薬草として古くから利用されてきました。「みら」という呼び方がのちに「にら」となりました。野菜として全国各地で栽培されるようになったのは戦後からです。昔から民間療法に「にら雑炊」や「にらの味噌汁」が食べられていました。にらの強烈なにおいはアリシンという成分で、にんにくにも含まれる硫化アリルの一種です。にんにくとともに力をつけたいときの食材として役立っています。また、にらと形や色が似ていることから「スイセン」の葉を間違えて食べ食中毒になる事故があります。にらよりスイセンの葉のほうが幅が広く厚みがあり全体的に大きいと違いはあるのですが、何よりの違いはこのにら特有のにおいです。においを嗅げば見分けられます。

食材のトリビア情報

【あの人も食べたにら粥】
石田三成が捕らえられ護送されるときの有名な話があります。このとき石田三成は腹痛があったが医師の薬を拒否します。そこで田中吉政が勧めたのは「にら粥」でした。石田三成はこれを食し「他の物に捕らわれるより、貴殿に捕らえられたほうが良い」と田中吉政に伝え、その功績により吉政は豊臣秀吉に仕えたと言われています。

知っておきたい基礎知識

旬な時期 11月~3月
栄養素トピックス 独特の香りは硫化アリルという成分で夏のだるいときには、レバーや豚肉と一緒に食べるのがおすすめです。カリウム、ビタミンCが含まれますが、βーカロテン、ビタミンK、葉酸も多く含まれています。(※1)

(※1)日本食品標準成分表2015年版(七訂)カリウム、ビタミンC、βーカロテン、ビタミンK、葉酸
選び方 葉先までピンとしていて、ハリ、ツヤがあり、みずみずしいものを選びましょう。緑色が濃く、肉厚で幅が広いものが良質です。
保存 ボウルに水を張って根元を5分ほどつけ、水気を拭き取ります。葉先を出した状態で、折らないように新聞紙で全体を包んで保存袋に入れ、保存袋の口を軽く閉めて冷蔵庫で保存します。
調理ポイント 全体をやさしくこすり洗いして、葉の部分を丁寧に洗えばより安心です。根元の白い部分には香りと味のもとになる硫化アリルが含まれています。うま味とシャキシャキ感を残すためにも切り捨てすぎないようにしましょう。歯ざわりを活かすために調理の最後に加えるなど加熱しすぎに注意しましょう。
品種や種類 一般的なにらは「葉にら」のことを言います。やわらかい花茎とつぼみを食用にし、香りがマイルドで甘味があり、炒めた時の歯ざわりが好まれる「花にら」は炒め物や天ぷらに向いています。にらもやしともよばれ日光をあてず軟白栽培し、見た目が美しいだけでなくやわらかく甘味もある「黄にら」は、春巻きや餃子など中華料理に向いています。

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