あじ(鯵)

あじ(鯵)

あじは、刺身や塩焼き、フライ、干物などで、昔から好まれている青背の魚です。味の良さから、「味」が「あじ」という名前になったと言われています。日本近海で一年中とれますが、脂がのり、一番安定しているのは春から夏。巻網、定置網などで漁獲されます。南米のチリやペルー沿岸からニュージーランドにかけて分布するチリマアジ、北東大西洋から地中海に分布する二シマアジなどは、干物の原料として日本にも輸入されています。市場で単に「あじ」と言えば「まあじ」のことを指し、小さいものを「豆あじ」、大きいものを「大あじ」とも言います。「まあじ」は大きいものが美味しいとは限らず、むしろ「大味」の意味だとも言われています。

食材のトリビア情報

【伊豆の郷土料理が全国区に!】
あじの食べ方としては昔から塩焼きや干物が定番でしたが、1965年頃、伊豆半島周辺の郷土料理「たたき」に新宿の料亭の板前さんが感動して店で出したところ一気に広まり、あじが生食できることが全国に知れ渡りました。以来、大衆魚だったあじが平均的に高値になったのです。

知っておきたい基礎知識

旬な時期 5月~7月
栄養素トピックス たんぱく質が豊富で、栄養成分の約20%を占めます。(※1)また、さんまやさばなどの他の青魚に比べて低脂質・低エネルギーなので、減量中の方にもおすすめです。(※2)毎日の健康維持に役立つ、EPAやDHAといった不飽和脂肪酸が含まれる点も注目すべきポイントです。

(※1)日本食品標準成分表2015年版(七訂)たんぱく質
(※2)日本食品標準成分表2015年版(七訂)脂質、エネルギー平均比較
選び方 目が澄んでいて、「ぜいご」がくっきりしているものが新鮮です。また、エラやヒレが張っていて、身にハリがあり、大きすぎないものが良質です。干物の場合は、全体的に丸みがあり、腹の部分や背骨のまわりが白っぽいものが、脂が多く美味しいと言われています。
保存 頭と内臓を取り除いて洗い、水気をふき取ります。ペーパータオルで包んでラップをし、チルド室で保存しましょう。また、「ぜいご」という固い部分があるので、調理する際は忘れずに取り除きましょう。
調理ポイント 新鮮なものは三枚おろしにして皮を剥ぎ刺身に、また漁師料理として有名な「なめろう」は味噌や香味野菜と一緒にたたき合わせて作ります。干物を焼く際は、予め加熱しておいたグリルで、身から焼き始めましょう。強火で表面をあぶって旨みを閉じ込め、最後に裏返して30秒ほど焼くと、皮がパリッと仕上がります。「まあじ」は焼き物、刺し身やなめろうなど生食、煮付け、汁物に向きます。「豆あじ」は丸揚げやマリネにし、骨まで食べることもできます。
品種や種類 日本でとれるあじの約9割(※)を占める「まあじ」には、浅瀬にいてあまり移動しない「黄あじ型」と、やや深い場所で回遊する「黒あじ型」がいます。「黄あじ型」は、小ぶりですが油がのって旨みも強いのが特徴で、各地でブランド化が進んでいます。一方、漁獲量の多い「黒あじ型」は、全体的に黒っぽく細長いのが特徴です。

(※)参考文献:最新版栄養がわかる体によく効く食材事典

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