のり(海苔)

のり(海苔)

黒い板状ののりは、もはや日々の食卓に欠かせないものとなっています。板状にするようになったのは江戸時代初期のころ。東京の浅草は紙の産地でしたが、その前に広がる荒川河口はのりの産地でもあり、もともと摘んではバラバラにしていたのりを、いつしか紙のようにすくようになっていたのです。同じころに養殖も始まりました。現在はほとんどが養殖されたもので、年間国内生産量が板のりで100億枚近くになっています。都心からほんの1時間足らずで行ける木更津は、のりの産地として有名です。味が良いのは、初摘みの「走り」と、寒い時期。夏に網につけられたのりの胞子は、寒くなると生長を始めます。このもっとも早い時期の初摘みが、美味しいとされる「走り」です。また、寒い時期のものも、旨みが強くて美味しいとされています。

食材のトリビア情報

【租税としての「のり」】
西暦701年に制定された「大宝律令」には、すでに29種類の海産物が租税として記載され、アマノリの名がその中に見られます。平安時代編纂の「延喜式」にも、同様に租税の対象として登場しています。延喜式には料理も記されていますが、ムラサキノリは味噌汁などにも使われていたようです。

知っておきたい基礎知識

旬な時期 11月~3月
栄養素トピックス ビタミンB1を豊富に含みます。(※1)ビタミンB1は、私たちが生き生きと生活するために欠かせない栄養素です。その他にも様々な栄養素を含むため、食欲のない日は、クエン酸を含む梅干しと合わせて栄養補給をするとよいでしょう。

(※1)日本食品標準成分表2015年版(七訂)ビタミンB₁
選び方 焼きのりは濃い青緑色、焼いていないものは濃い黒色ののりが良質です。また、焼きのりは厚みが均一でパリッと割れるものがおいしいとされています。生のりは、外見では味がわかりにくいため、値段や色合いよりも、食べてみて甘みや香りを確かめてから買うとよいでしょう。
保存 焼きのりは、湿気ると風味がとんでしまうため、密閉容器に入れて冷暗所で保存します。乾燥剤も一緒に入れておきましょう。青のりも同様に、乾燥した状態を保てるように保存します。生のりは冷蔵庫で保存が可能ですが、開封後はなるべく早く食べきるようにしましょう。
調理ポイント 焼きのりは、コンロに焼き網をのせ、ごく弱火で両面を丁寧にあぶると風味がよくなります。湿気ってしまったのりはもとには戻らないため、ごま油をぬって塩をふり、あぶって味付けのりにしたり、つくだ煮にして食べるとよいでしょう。生のりは、天ぷらやつくだ煮にして食べるのが一般的です。
品種や種類 のりの仲間には、「浅草海苔」や「一重草」があります。一重草は佃煮の原料となります。また、沖縄、長崎などでは摘んだものを板状に干して、汁やふりかけなどに使います。非常に香りがよく、緑色で美しいのが特徴です。

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