米料理特集
宮崎シェフのテーマ食材 「白米」と「リ・スフレ」
宮崎剛次シェフ
1981年10月20日、長崎県生まれ。
フランス料理
Passage53 シェフ(2016年5月現在)
福岡やアメリカ・ニューヨークのレストランで経験を積んだ後、渡仏。パリの「Passage53」に勤務。2016年6月に退職し、現在自身のプロジェクトに向かって動き始めている。
米そのものが持っている甘み、香り、食感を感じる料理。
《米料理》米と貝類のサラダ
以前、イタリア料理をやっていた事もあり、このアイデアはイタリア料理が原点です。米は、“炊く”のではなく、西洋料理の手法で“ゆでる”ことで、より一層おいしい米料理になります。うまみたっぷりの、複数の貝類からとった出汁をミックスすることで、奥行きのある出汁ができます。その貝の出汁で米をゆでるので、米自体のうまみも増して、味に一体感が出てきます。この料理に難しいところはほとんどありません。簡単に作れるうえに、米本来の甘みや香り、食感などが一緒に楽しめる料理だと思います。暑い季節にお米をさっぱりと食べられる、というところにフォーカスして、仕上げてみました。
《リ・スフレ料理》リ・スフレとプティポワ
《リ・スフレ》とは米に圧力をかけて、膨らませたもの。それに甘い味をつけたものが、懐かしいポン菓子、といえばイメージがわくでしょうか。僕はリ・スフレの自然なフォルムが好きで、アーティスティックな食材とすら感じています。今回はこのリ・スフレを薄いおせんべい状に揚げて、プティポワ(未成熟の小粒グリーンピース)と組み合わせる一品をご紹介したいと思います。
元々サクサクとしたリ・スフレをお米のピューレで結着し、それを高温で揚げているので、よりサクッとした食感に。そこへプティポワのプチプチした食感を合わせます。心地良い異なる食感の食材を、パルメザンチーズの濃厚なクリームで繋げます。実はこれもイタリア料理からの発想で、よくあるグリンピースのリゾットがヒントです。僕自身、最初から最後まで同じ食感、同じ味という料理は飽きてしまう性格なので、それぞれの食材の良さを生かしながら、混ぜることは避けつつ、それらがバラバラにならないように合わせる、ということをよくやっています。
料理をツールとして、いろいろなジャンルの方々と繋がっていきたい。
料理とは、その《造り手》が投影されると思います。だから僕は料理に嘘はつきたくありません。お客様が喜んでくれる料理を作ることは大前提ですが、僕は料理で自分を表現し、それを好きになってくれた方々と料理を通じて繋がっていきたいと強く考えています。特に違うジャンルの方々と繋がっていくことは、自分の幅も広がり、また違った角度での表現ができると思っています。そのうえで店としての実績や、評価などしっかりとしたものがあれば説得力もありますね。ちゃんとやることはやって、色んな事にチャレンジして、人生を楽しみたいと思います。
そんな人間がこの業界にいてもいいと思うし、上手くいけば違う道に進もうとしている若い世代の人が、「料理人ってかっこいいな」とか思ってくれたりすると、料理業界の間口を広げる事になりますね。そんな存在に僕はなりたいです。
宮崎シェフの「白米」と「リ・スフレ」レシピ
米と貝類のサラダ
特長
米をメインにしたサラダ仕立ての料理なので、使用する米は粘り気の少ないものをお勧めします。今回はササニシキを使いましたが、僕の個人的な好みではリゾット用のイタリア米《カルナローリ米》などがこの料理に合います。もし手に入ったらお試しください。新鮮なアサリやムール貝を使って、貝のうまみをお米にたっぷり吸わせ、さっぱり食べられるようにゆでて仕上げましょう。
コツ・ポイント
米をスープでゆでたときに出る粘りを取り去らないと、おいしくできません。ゆで上がった米をザルで濾すときに、ザルをよく振って、余計なヌメリもきれいに落としましょう。
リ・スフレとプティポワ
特長
おいしさを決めるのは、リ・スフレのクリスピーな食感です。作り方としてはまず、炊いたご飯をピューレ状にしたもので、バラバラのリ・スフレの粒を結着させます。いわば共に元は米同士、なじみも良いし自然な出来上がりになります。乾燥させた後に油で揚げてチップスにし、パルメザンチーズのソースと、プティポワをきれいに盛りつけます。
これが綺麗に作れるようになると、ご飯と相性のいいものは、基本的に何でも合うと思うので、工夫次第でセンスあるフィンガーフードを作ることができると思います。
コツ・ポイント
リ・スフレは味のついていないプレーンなものを選んでください。米のピューレと混ぜたあと、しっかりと乾燥させることが大事です。100度から120度のオーブンで1時間半ぐらい、裏返して1時間から1時間半ぐらい乾燥させます。表面を手で触った時に、ベタっとくっつかなくなれば大丈夫。オーブンを切って、そのまま余熱でさらにしっかり乾燥させてください。広げる厚みはリ・スフレ1粒分程度で、リ・スフレ同士が重ならず均等に広がれば大丈夫です。
明日の才能、未知なる美味を発掘する
2013年に幕を開けた、新時代の若き才能を発掘する日本最大級の料理人コンペティションRED U-35 (RYORININ’s EMERGING DREAM)。夢と野望を抱く、新しい世代の、新しい価値観の料理人(クリエイター)を見いだし、世の中に後押ししていくため、これまでの料理コンテストとはまったく異なる視点で、日本の食業界の総力を挙げて開催する料理人コンペティションです。
2016年大会へのコメント
日本は海外に比べて若い料理人に与えられるチャンスが少ない。そんな中で、RED U-35は若い料理人を輝かせる希望の光であると考えています。RED U-35に挑戦することは、自分の将来が開けるだけではなく、ほかの料理人へ希望を与えることにもつながり、料理界全体を盛り上げることでもあるのです。いずれは自分で店をもちたい、世界に冠たる料理人になりたいと考える志のある若き料理人を待っています。
村田吉弘
菊乃井 主人
RED U-35 プロジェクトメンバー
RED U-35 2015・2016 審査員
-
審査員
村田吉弘
菊乃井
主人 -
審査員
門上武司
フードコラムニスト
雑誌「あまから手帖」編集顧問 -
審査員
脇屋友詞
Wakiya一笑美茶樓
オーナーシェフ -
審査員
田崎真也
ソムリエ
-
審査員
山根大助
ポンテベッキオ
オーナーシェフ -
審査員
辻芳樹
学校法人辻料理学館
辻調理師専門学校
理事長・校長 -
審査員
狐野扶実子
料理プロデューサー・コンサルタント
-
審査員
山本征治
龍吟
オーナーシェフ -
審査員
須賀洋介
SUGALABO Inc.
代表
RED U-35 総合プロデューサー
-
総合プロデューサー
小山薫堂
放送作家
RED U-35 発起人
-
発起人
岸朝子(故人)
食生活ジャーナリスト
-
発起人
滝久雄
株式会社ぐるなび
代表取締役会長