シェフごはんコラム

美味なる料理の極意はだしにあり♪「洋風だしと基本のスキル」

食べものの味は、甘味、酸味、塩味、苦味、うま味の“五味”が基本。なかでも日本人が昔から大切にしてきたのが、うま味。このうま味の成分を発見したのは日本人科学者だったりします。もちろん海外でも、食材のうま味をいかしただしは基本中の基本。今では手軽に、うま味調味料を使うこともできますが、一度でもいいので、基本に忠実に、だしをとってみましょう。味の経験値がググッと広がるはずです。

今回は、洋食に欠かせない2種類のだしと基本の料理スキルを、歴史あるフレンチのグランメゾン「アピシウス」 岩元学シェフから学びました。

ブイヨン・ド・レギューム(野菜のだし)

ブイヨン・ド・レギューム(野菜のだし)

フレンチにおけるだしは、用途によってブイヨンとフォンと大きくふたつに分けられます。ブイヨンは、主にスープのベースとなるだし。使われる食材によって味わいもさまざま。ブイヨン・ド・レギュームは野菜のうま味だけで作るので、さっぱりとしています。ポイントは、野菜の切り方。断面を大きく、薄く、繊維を断ってスライスするとだしが早くでます。じっくりコトコト煮だし、ゆっくり丁寧に濾すことで、美しく澄んだブイヨンに。おいしさを、一滴も漏らさないように心がけて。

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フュメ・ド・ポワソン(魚のだし)

フュメ・ド・ポワソン(魚のだし)

もうひとつのだしであるフォン。これは主にソースに使われます。白身魚のあらやクズ、ガラと香味野菜で作るのが、フュメ・ド・ポワソン。魚介料理などにも使われる基本のだしです。魚を使っているだけに、臭みがでてしまわないよう、しっかりと下処理をしましょう。ここで手を抜くと、だし全体が残念なことになってしまいます。また、だしの香りづけに使うこしょうは、黒粒だと強すぎるので白粒で。肝心なのが濾す作業。きめの細かいざるを使うのはもちろん、ざるとざるの間にペーパーをはさんで、濁りのないだしに仕上げます。

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突然ですが、みなさん、調理技術に自信はありますか?専門学校や料理教室などで学んだことがある人なら切り方や食材の下処理の方法など、しっかりマスターしているかもしれませんが、独学だとなかなか学ぶ機会がないのが、正しい料理のスキル。そこで、シェフごはんでは、プロのシェフに基本の調理スキルを学ぶページがスタートします。料理の仕上がりを頭に入れた上で、美しく、おいしくなるように食材に向き合う、プロならではの視点が盛り込まれた基本スキル。まずは玉ねぎのみじん切りから学びましょう!

何事も、いちばん大切なのは基本。基本がしっかり身についていなければ、応用の幅も広がりません。暑い夏が過ぎ去り、何かに没頭するのにもいい季節。秋の夜長を、料理で楽しむのも風流ですね。次回は、日本人なら必ず知っておきたい「和食のだしと基本のスキル」をご紹介します。

文:一杉さゆり
写真:福田栄美子

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