シェフごはんコラム
屋台もいいけど手作りもね。「大阪の粉もん・ねぎ焼&お好み焼」
豚のねぎ焼
ねぎ焼きはお好み焼きのルーツとされ、一銭洋食として大正時代からあった料理。メインの具材は、シンプルに刻んだ青ねぎと豚肉のみ。さば粉、えび粉で旨味をプラス。焼き方は、丸く焼いた生地の上に具材をのせ、ゆるめの生地を何回かに分けてかけてからひっくり返す「のせ焼き」。四方から流れ出る生地をコテで寄せて土手を作り、さらに生地をかけては寄せる、を繰り返します。ねぎ焼きは甘いお好み焼きソースではなく、しょう油タレにレモンでさっぱりといただきます。
すじねぎ焼
福太郎一番人気のすじ肉こんにゃくが入った「すじねぎ焼」。すじ肉は、できれば和牛のすじを使うとおいしさ倍増。肉は一度茹でこぼし、余分な脂とアクをとったうえで甘辛に煮ます。煮ながらも脂とアクは丁寧に取りましょう。和牛でない場合は、みりんでコクをプラス。焼き方はねぎ焼きと同じく、のせ焼き。具材が重たいので、ひっくり返すのは初心者には難しいですが、手際よく返せるようになるまで練習あるのみ!
ミックスお好み焼
ねぎ焼きにアレンジを加え、キャベツが使われるようになったのがお好み焼き。生地には卵が入らず、仕上げに目玉焼きと合わせます。焼き方はのせ焼ですが、温度調整が異なるので要注意。ねぎに比べてキャベツは水が出やすいので、蒸し焼きにする場合は蒸しすぎないようにしましょう。「お好み焼き」というだけあって、具材やソースは好みでアレンジして自分流を楽しんじゃいましょう。
生地には水でなく出汁を使うのが、大阪のお好み焼き。大阪で粉もん文化が根付いたのは、戦前から親しまれてきた小麦粉料理が、江戸時代からのだし文化と融合したことも大きな理由のひとつでしょう。屋台のお好み焼きも捨てがたいですが、時には家族で賑やかにホットプレートを囲んで、焼きたての粉もんをほおばるのもいいですね。
文:一杉さゆり
写真:福田栄美子