シェフごはんコラム

定番料理に潜むプロならではのコツを実践「基本のフランス料理」

世界のさまざまな国の料理を極めるシェフたちが、アイデアいっぱいのレシピを提案してくれるシェフごはん。現地を知るプロから学ぶからこそ、家庭でも、その国に訪れているような本格的な料理が実現できます。今回は、フランスの有名店で経験を積んだAile Blanche小川智寛シェフに、フランスの家庭料理で、日本でもポピュラーな3品を教えていただきました。定番料理であればあるほど、シェフが加えるひと手間に「なるほど!」と目から鱗が落ちること間違いなし。シェフが日々、料理へあくなき探求を続けていることを実感できるはず。その恩恵を受けて、プロ顔負けのひと皿に仕上げちゃいましょう!

チキン・コルドン・ブルー(鶏むね肉のチーズはさみ揚げ)

チキン・コルドン・ブルー(鶏むね肉のチーズはさみ揚げ)

コルドン・ブルーは、薄く叩いた肉でハムとチーズを包み、衣をつけて油で揚げた料理のこと。元々フランスでは鶏肉料理の最高峰に位置づけられていたとか。だからこそ、この料理が作れる人のことを「コルドン・ブルー(お料理上手という意味)」とも言うそうです。チーズとハムを包むので、脂肪の少ない鶏むね肉を使います。加熱するとチーズが膨張するので、包むときに余白を作っておくとはみ出しにくくなります。また、フライパンで揚げ焼きにすると、少量の油で済むので後片付けも楽ちん! 大人も子どもも大好きな、文句なしの一品です。

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そば粉のガレット

そば粉のガレット

フランス北西部ブルターニュ地方発祥の郷土料理。気候が冷涼で土地の痩せたブルターニュでは、昔からそばの栽培がさかんで、主食として愛されてきました。ガレットもそのひとつで、塩気のある生地を焼き、チーズや卵、肉類、魚介類、サラダなどを包んだもの。最大のポイントは、生地を一晩寝かせること。寝かせることで、もっちりとした焼き上がりになります。また、焼くときには弱火で焦らずゆっくりと焼き上げましょう。生地を折るのにパレットナイフがあると便利です。休日のブランチにもピッタリなので、お好みの具でアレンジして、シードルやシャンパンと楽しんで♪

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カスレ(肉と白インゲン豆の煮込み)

カスレ(肉と白インゲン豆の煮込み)

カスレとは、肉と白インゲン豆を、カソールと呼ばれる深い土鍋で時間をかけて煮込んだ、フランス南西部でポピュラーな家庭料理。地方によってさまざまなバリエーションがあり、肉も、豚肉ソーセージや羊肉、ガチョウ肉、アヒル肉などが使われますが、今回は、豚肉と鶏肉で手軽に。とはいえ、そこにシェフならではのひと手間を。豚バラ肉は一晩塩漬けにして、味に深みとコクをプラス。また、煮て仕上げるだけでなく、煮上がりにパン粉をたっぷりふりかけオーブンで焼いて仕上げると、香ばしさも加わりさらに美味しくなります。ぜひ、バゲットを添えて、ソースまで余さず食べきって!

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小川シェフは福井出身。故郷の地域活性化にも積極的に取り組んでいて、地元自治体とともに、三国町と越前町にレストランやデリ、ガレットカフェをオープンさせています。今回のそば粉のガレットのレシピも、シェフの試行錯誤から生まれたもの。料理は、世界を旅できるだけでなく、地域活性にも役立つ、素敵な力をもっているんですね。

文:一杉さゆり
写真:平瀬夏彦

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