シェフごはんコラム

国境を越えて食欲を刺激する♪「タイ・東北地方の料理」

日本には、47都道府県それぞれの地域に根ざした食文化や郷土料理があります。長い歴史のなかで、隣り合った地域同士で影響を受けあいながら、共通の(もしくはよく似た)料理なども育まれてきました。海外に目を向けてみても、それは同じ。国境を越えて影響を受けあい、愛されてきたものも数多く、ひとつの料理にさまざまな歴史的背景が隠されていたりします。今回は、そんなロマンを感じさせる海外の料理の中でも、タイ・東北部のイサーン地方の料理に注目。隣接するラオス料理との共通点が多く、タイの他の地方の料理とは一線を画すイサーン料理を代表する3品をカオマンガイバザール三鷹店ナチャダ カンナシェフに教えていただきました。

ラープガイ(鶏ひき肉のサラダ)

ラープガイ(鶏ひき肉のサラダ)

料理にたっぷりの生野菜やハーブを使うのが特徴のイサーン料理。ラープはその代表格とも言えるサラダの一種で、タイだけでなく、ラオスでもポピュラーな料理です。ジューシーに炒めた肉と、清涼感のある野菜を合わせ、ナンプラーとレモンをきかせた調味料と合わせるだけ、という簡単ステップな分、タイ料理ならではの調味料がこだわりどころ。特にもち米を炒ってパウダー状にした「カオクァ」はイサーン料理には必需品。香ばしい香りと食感がクセになってしまうはず。もち米と生野菜を付け合わせるのが本場流の食べ方です、ぜひお試しを!

レシピを見る

ガイヤーン(タイ風鶏の照り焼き)

ガイヤーン(タイ風鶏の照り焼き)

ガイは鶏肉、ヤーンは炙り焼く、という意味で、いわゆる「焼き鳥」。イサーン地方の伝統的な料理で、肉をマリネし、本場では炭火を使って焼き上げます。漬けだれにはタイ独特の料理には欠かせない2種類の醤油やシーズニングソースが使われ香りも味もエスニックですが、どの調味料も大豆から作られているので、日本人の舌にもよく合います。より本場に近い味に仕上げるなら、牛乳をココナッツミルクに換えましょう。焦げやすいので火加減にはご注意を。たれに漬けて焼くだけなので、バーベキューなどにもピッタリのメニューです。たっぷり野菜を付け合わせて召し上がれ。

レシピを見る

ソムタムタイ(青パパイヤと人参のサラダ)

ソムタムタイ(青パパイヤと人参のサラダ)

完熟前のパパイヤを使ったサラダ。今ではタイの代表的な料理となっていますが、実はこれもイサーン料理。ソム=すっぱい、タム=搗(つ)く、という名の通り、本来はクロックという臼で搗きながら仕上げるのですが、日本では手に入りにくいので、クロックを使わず、手でもみ込む調理法を教えていただきました。野菜を調味料と合わせたら、しんなりするまでとにかく強くもみ込むのがポイント。青パパイヤの代わりに、マンゴーやキュウリなどでも美味しく作れます。甘味、辛味、酸味、塩味が調和した、タイ料理ならではの味わいです。仕上げに砕いたピーナッツを振っても◎。

レシピを見る

今回ご紹介した3品は、どれもイサーン地方、ラオスに共通する家庭料理。ソムタムに至っては、同様の料理が隣接するベトナムやマレーシア、ミャンマーなどでも食べられています。こうして料理を通してみると、この広い世界の、素晴らしき文化のつながりを実感できますね!

文:一杉さゆり
写真:千々岩友美

  • facebookにシェア
  • ツイートする
  • はてなブックマークに追加