シェフごはんコラム

今年は手作りで新年を迎えましょう♪プロに学ぶ「おせち料理」

もういくつ寝るとお正月♪なんて、お年玉をいただく方から渡す方になって、ワクワク感がいつのまにか薄れている方もいるでしょう。でも新年は、何かと区切りをつけてリスタートできる絶好の機会。やり残したことも新たな目標にして、今年よりもいい年にしたいですね。さて、一年の始まりはやっぱりおせち料理!今は購入する方も多いですが、ぜひ手作りで新年を迎える準備をしたいもの。

そこで、おせちに欠かせない3品を、食材の持ち味を最大限に生かした日本料理を供する哲庵」 店主 後藤哲荘さんにうかがいました。

田作り

田作り

おせちには欠かせない田作り。ごまめを炒って、酒、みりん、醤油、三温糖でつくったタレをからめて仕上げます。ごまめとは、カタクチイワシの幼魚のこと。その昔、イワシが豊漁で田んぼの肥料として処理したところ、米が豊作になったことから「五万米」の文字があてられ、五穀豊穣を祈願して食べる祝い肴になったといわれています。ごまめは、弱火で絶えず混ぜながら、じっくり炒りましょう。炒ることで、香ばしさが際立ち、魚の臭みが中和されます。最後に煮きり酒を振ると、ごまめ同士がくっつきにくくなり、食べやすく仕上がります。

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なます

なます

お祝い事には欠かせない紅白の水引。これを模したのが大根とにんじんで作る紅白なますです。後藤さんはこれに、柿の甘味をプラス。合わせ酢に加える砂糖を控え、フルーティでさっぱりとした酢の物に。柿はやわらかいものではなく、固いものが食感を楽しめるのでオススメ。大根、にんじん、柿はそれぞれ厚さ、大きさを切り揃えましょう。見た目も美しく、味のなじみも均等になります。合わせ酢は、削り節を入れて一煮立ちさせているので、酸味がまろやかで鰹のうま味が抜群。上品な味で、箸が止まらない一品です。

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叩きごぼう

叩きごぼう

黒色が邪気を払うとして、神饌として神社や神棚にも供えられてきたごぼう。独特のふくよかな香りを活かすため、皮をむかずに、たわしで泥や汚れだけを落としましょう。また、茹ですぎるとシャキシャキの食感を楽しめないので、茹で時間はほどほどに。ごぼうにしっかり味をなじませるには、熱いうちが勝負。ごぼうに火が通ったら、すかさずすりこぎで叩き、手で裂き、間髪入れずに調味料と合わせます。包丁で切るよりも、叩いて手で裂いたほうが舌触りがよくなるので、火傷に注意しながらチャレンジしてみましょう。ごぼうを茹でている間にゴマを半ずりにし、調味料を準備しておくといいですね。

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食材本来の持ち味を楽しむため、砂糖を使わずに、食材の甘味を引き出したり、甘みのある食材を加えたりする、という後藤さんが唯一砂糖を使うのがおせち料理。それでもごくごく少量なので、おせち料理のイメージが覆るほどさっぱりと、滋味深い仕上がりになっています。お正月にやってくる年神さまも喜んでくれそうですね。

文:一杉さゆり
写真:千々岩友美

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