シェフごはんコラム

今年の年越しはワケが違う!蕎麦屋直伝のそばで一年の締めを!

日本全国、年越しの風物詩といったら、歌合戦と除夜の鐘と年越し蕎麦。特に年越し蕎麦は、食にこだわる皆さんにとって気になる存在であることは間違いありません。大晦日に蕎麦を食べる風習は、江戸時代から定着したとされていますが、その由来には諸説あり、蕎麦は他の麺類よりも切れやすいことから「今年一年の災厄を断ち切る」意味だったり、蕎麦は細く長いことから延命・長寿を願ったり・・・と、江戸の昔から、日本人は節目節目で縁起を担いでいたんだな、ということがよくわかりますね。今年は皆さんも、こだわりの年越し蕎麦で1年をしめくくってみませんか?

年越し蕎麦にピッタリな3品を、こだわりのそば粉で打つコシの強い手打ちそばに定評のある水天宮 箱や 東出 忠剛シェフにうかがいました。

蕎麦屋直伝 エビ天そば

蕎麦屋直伝 エビ天そば

長寿のシンボル、海老を使った蕎麦。これで来年の無病息災は約束されたようなもの。腰が曲がるまで長生きできる、と言われてはいますが、天ぷらにするときにはまっすぐ姿勢良く揚げたいですね。そのポイントは、海老の腹側に切り込みをいれ、筋を断ち、まな板の上でしっかり伸ばすこと。天ぷらの衣は小麦粉と天ぷら粉をブレンド。これでカラッと仕上がります。海老につけた衣だけでなく、油に入れてから、花を咲かせるように衣を足すと、サクサクの食感とボリューム感の両方が叶います。温かい蕎麦でも、茹でたらしっかり流水で洗ってぬめりを取るのも忘れずに。

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蕎麦屋直伝 きつねそば

蕎麦屋直伝 きつねそば

甘辛に煮た油揚げをのせたきつねそば。どうしてきつね?と思う方もいるかもしれませんが、きつねは油揚げが大好物♪とされていて、稲荷神のお供え物にもなっていますね。また、その色合いがきつねに似ているから、という説もあります。とはいえ、そんなうんちく関係なく油揚げがスキ! という人にはぜひトライしていただきたいのがこのレシピ。油揚げは、最初にしっかり油抜きをしましょう。そうすることで、煮汁の味しみがよくなり、余分な油分も取り除くことができます。煮上がりはお好みの濃さで。こっくりと煮含める場合は長めに、あっさりと仕上げるなら短めで。

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蕎麦屋直伝 けんちんそば

蕎麦屋直伝 けんちんそば

数種の根菜をたっぷり使ったけんちんそば。汁に野菜のうまみが加わり、滋味深い味わいでお腹もいっぱいになる一品です。今回は豚バラ肉を使っていますが、鶏肉でもまた違ったダシが出て、おいしくなります。また、野菜を炒める油をゴマ油にしても風味抜群。この一杯で野菜、そば、肉、と味わえるのは無敵。特に冬にうま味が増す根菜をたっぷり摂ることで、身体も心もぽかぽかになり、新しい一年を迎えるにふさわしい一杯といえるでしょう。年越しだけでなく、寒い夜に食べたい一品でもあります。

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シェフ直伝の3品を紹介しましたが、なにより肝心なのは、そばの茹で方とつゆ! 年越し蕎麦は特別なものなので、生麺を華麗に茹でて、プリプリとしたみずみずしさを味わいたいもの。あわせてかけつゆも、しっかりと昆布とかつおで出汁を取り、上品な味に仕上げましょう。詳しいレシピは「蕎麦屋直伝 温かいかけそば」でご紹介しています。麺だけでなく、汁ごと楽しめるのがこのレシピの魅力です。

文:一杉さゆり
写真:千々岩友美

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