米料理特集
野田シェフのテーマ食材 「白米」と「玄米」
野田達也シェフ
1985年2月25日、福岡県生まれ。
フランス料理
ラ・リュシオール スーシェフ(2016年12月現在)
高校卒業後、別業種に就くが料理の道へ進むべく調理師学校に入学。「コム・シェ・ヴ」(現「ラ・ファソン古賀」東京)、で働いたのち渡仏、「Passage53」(パリ)で修業を積む。帰国後「ル・マンジュ・トゥー」(東京)、「ル・ヴァンキャトル」(東京)、「ピルエット」(東京)スーシェフを経て、2016年3月「ラ・リュシオール」(東京)のスーシェフに。
素材の最もおいしいところを引き出すのが仕事。
《米料理》お米と蕪のスープ パイ包み焼き
《アンクルート》とは、パイ生地で包む料理のことを指すことが多いです。冬の料理をテーマに、スープのパイ包み焼きを作りたいと思いました。僕が最初に修業した店はクラシカルな料理が多かったのですが、実はここ最近、この手の料理を作る機会がめっきり減っていました。僕は常々、食べる人が美味しさのあまり笑顔になったり、喜んでくれるものを作りたいと思っています。こんがりと焼けたパイのふたをされた料理が出てきたら、何が入っているんだろう、と期待してくれるに違いないし、気分が盛り上がりますよね。そうなればしめた!という気持ち。そういう思いを込めて作りました。パイのふたを開けたら、中は真っ白なスープです。お米と蕪の優しい香りと甘み、レモングラスとココナッツミルクの少しエキゾチックな風味を馴染みのある和出汁の旨味でやんわりと纏め、どこかホッとする一皿に仕上げました。
《玄米の料理》玄米おにぎりの枯葉仕立て
いま思えば母に感謝、という話なのですが、僕が子供のころ家に2つのジャーがあり、ひとつは玄米ご飯、ひとつは白米が入っていました。家族の健康を考えて、母が2つの主食を毎日用意してくれていたんです。とはいえ、当時は食べさせられている感じがして(笑)、玄米はあまり好きではなく、白米のほうばかり食べていましたね。今回米というテーマをいただき、玄米で試作したんですが、あれ、玄米ってこんなに堅かったかなと思いました。母が炊く玄米とは全く違うんです。すぐに母に電話したところ、「三日寝かせて出していたのよ」と。初めて聞きました。その方法でやってみたら、食感がもちもちでうまみもあり、びっくりするほどおいしかった。炊きたての玄米とは全く違うおいしさなんです。うまさが増した玄米を使い、中に栗を入れておにぎりに。素揚げした牛蒡とシメジを合わせ、食感と香ばしさをプラスし、冬の枯れた景色をイメージした一皿になりました。
37歳までには地元・福岡で自分らしい食の世界を発信したい。
RED U-35のファイナル後、 虎ノ門ヒルズの『ピルエット』から、銀座の路地にひっそりとあるワインバー『ラ・リュシオール』に移りました。ここではレストラン業務だけでなく、ケータリング業務もやっているので、全く新しい分野にチャレンジしています。戸惑うことも多々ありますが、でもやるしかない!という気持ちで、頑張っています。ケータリングは会場の設営から始まるので、料理人以外の様々なプロフェッショナルと一緒に仕事をさせていただき、厨房にいるだけでは分からない学びも多く、すごく面白いし将来への可能性を感じています。37歳までには、故郷の福岡に戻りたいですね。どんな形になるかまだ分からないですが、僕らしいスタイルで《食》を発信していきたいです。
野田シェフの「白米」と「玄米」レシピ
お米と蕪のスープ パイ包み焼き
特長
パリパリに焼かれたパイのフタをくずすと、中は雪のように真っ白なスープ。中はお米と柔らかい蕪、とろりと溶けたブラータチーズ。ほんのりと香るレモングラスの絶妙な風味。和出汁に合わせたココナッツミルクの香りもほどよく、調和しています。パイもスープに浸して食べればさらにおいしい。和とアジアの食材をフレンチ風に仕上げた冬らしいスープです。
コツ・ポイント
上にかぶせるパイを色良く焼き目をつけるには、卵液を焼成までに3回程パイ生地に丁寧に塗り、しっかり染みこませること。ココナッツミルクやレモングラスは他の具材の香りを消さないようにバランスが大事。まずは、レシピの分量で作ってみてください。
玄米おにぎりの枯葉仕立て
特長
炊いた玄米を熟成したものが、こんなにモチモチになり、うま味が増すことに驚く料理です。おにぎりの中にはホクホクの栗。銀杏に変えてもおいしいとか。揚げることで水分をすっかり抜いて、まったく異次元のおいしさになった、牛蒡の細切りとシメジにもびっくり。見て驚き、食べてみて想像のつかないおいしさに感動し、まさにシェフ狙いどおりの一皿です。
コツ・ポイント
玄米を3日寝かせて熟成させることが一番のポイント。衛生面に注意し、1日1回天地をひっくり返します。保温ジャーで熟成する場合は、釜肌に触れる面が多いと乾燥するので、なるべく触れないよう中央に寄せて保温しましょう。牛蒡としめじは160度の低温でゆっくり揚げて水分を完全に飛ばすこと。
明日の才能、未知なる美味を発掘する
2013年に幕を開けた、新時代の若き才能を発掘する日本最大級の料理人コンペティションRED U-35 (RYORININ’s EMERGING DREAM)。夢と野望を抱く、新しい世代の、新しい価値観の料理人(クリエイター)を見いだし、世の中に後押ししていくため、これまでの料理コンテストとはまったく異なる視点で、日本の食業界の総力を挙げて開催する料理人コンペティションです。
2016年大会へのコメント
日本は海外に比べて若い料理人に与えられるチャンスが少ない。そんな中で、RED U-35は若い料理人を輝かせる希望の光であると考えています。RED U-35に挑戦することは、自分の将来が開けるだけではなく、ほかの料理人へ希望を与えることにもつながり、料理界全体を盛り上げることでもあるのです。いずれは自分で店をもちたい、世界に冠たる料理人になりたいと考える志のある若き料理人を待っています。
村田吉弘
菊乃井 主人
RED U-35 プロジェクトメンバー
RED U-35 2015・2016 審査員
-
審査員
村田吉弘
菊乃井
主人 -
審査員
門上武司
フードコラムニスト
雑誌「あまから手帖」編集顧問 -
審査員
脇屋友詞
Wakiya一笑美茶樓
オーナーシェフ -
審査員
田崎真也
ソムリエ
-
審査員
山根大助
ポンテベッキオ
オーナーシェフ -
審査員
辻芳樹
学校法人辻料理学館
辻調理師専門学校
理事長・校長 -
審査員
狐野扶実子
料理プロデューサー・コンサルタント
-
審査員
山本征治
龍吟
オーナーシェフ -
審査員
須賀洋介
SUGALABO Inc.
代表
RED U-35 総合プロデューサー
-
総合プロデューサー
小山薫堂
放送作家
RED U-35 発起人
-
発起人
岸朝子(故人)
食生活ジャーナリスト
-
発起人
滝久雄
株式会社ぐるなび
代表取締役会長