米料理特集
米澤シェフのテーマ食材 「白米」と「黒米」
米澤文雄シェフ
1980年7月4日、東京都生まれ。
フランス料理
Jean-Georges Tokyo シェフ(2016年11月現在)
高校卒業後、恵比寿にあるイタリアンの草分け的存在「トラットリア イル・ボッカローネ」などを経て渡米、単身ニューヨークへ。22歳のときに三ツ星フレンチ「Jean-Georges」と出会い、日本人初の副料理長に就任。帰国後、「KENZO ESTATE WINERY」でエグゼクティブシェフなどを歴任し、2014年「Jean-Georges Tokyo」オープン時より、シェフに就任。
RED U-35をきっかけに、素材としての米に関心が高まった。
《米料理》クリスピーライスのタルト仕立て マグロとアボカドのタルタル
日本で育った私にとって、米は最も身近な食品ですが、『Jean-Georges Tokyo』で米を使う機会はあまりなく、リゾットくらいですね。しかし『RED U-35』に参加して他のコンペティターの作品を見て勉強になり、改めて考えさせられた素材でした。マグロとアボカドという組み合わせはカリフォリニアやハワイの料理のイメージで作りました。米は炊いた後に薄くのばしてカットし、米粉をまぶして揚げ、薄いタルト風の台に仕上げました。米粒を残したおせんべい状のものですが、マグロとアボカドにとてもよく合う、洒落た前菜になります。料理に合わせたチリマヨネーズは、アメリカではとてもポピュラーなソース。フライドポテトとか、野菜のスティックサラダにもとてもよく合います。マヨネーズにタバスコをお好みの辛さに入れて仕上げるだけですので、他の料理にもぜひ使ってみてください。個人的にはマグロ:アボカドは《2:1》の割合がお勧めです。その比率がいちばんおいしいと思いますよ。
《黒米の料理》マッシュルームと黒米のスープリゾット
コンテストをきっかけに、米についていろいろ調べるようになりました。中でも興味を引いたのが古代米の黒米や赤米です。古代米は、いま食べている白米の元祖にあたる種類なんですね。食材としてもいろいろな使い方ができるので、今回は秋らしくキノコと合わせ、クリアタイプのマッシュルームスープをベースに様々なキノコ入りのスープリゾットにしました。もともとキノコと米は相性がいいですし、サーブした後、黒米がスープを吸って食感が徐々に変わっていくのも面白い味わいです。実は、最初はこの料理ではなく、黒米とナッツ類やドライフルーツをミックスした和風のシリアルみたいな料理にしようと思っていたんですが、季節を考えてこちらにしました。黒米はお菓子のようにも扱えますし、かなり面白い穀類なんです。私の店でもいろいろ試してみたい食材のひとつになりました。
活躍できる舞台が大きくなるほど、やりがいを感じている。
『Jean-Georges Tokyo』のシェフになり2年半が経ちました。私にとってありがたい大きな舞台です。振り返れば、満足のいく仕事ができる場所だと感じています。ただ、この環境に慣れてしまうと、このままでいいのかという気がしてしまうんですよね。今までもそうでしたが、料理の世界に入って以来、自分が必ず成長できる環境に飛び込んで、仕事をしてきました。今すぐではないですけど、たぶん数年後は、もっと自分を鍛える場所で仕事をしたいと考えるでしょう。そういう性格ですからね(笑)。また海外で自分を試したくなるんじゃないか、そんな予感があります。
米澤シェフの「白米」と「黒米」レシピ
クリスピーライスのタルト仕立て マグロとアボカドのタルタル
特長
巻き寿司やポキ丼などで人気の、マグロ+アボカドのコンビネーション。ここに合わせたのがお米から作るタルト風の台なので、まさに相性ぴったりな一品です。思わずわさび醤油で食べたくなりますが、塩とオリーブオイルでさっぱりと軽い味つけ。それだけでも十分おいしいのですが、ピリリと辛いチリマヨソースが、マグロとアボカドコンビから新しいおいしさを引き出してくれます。
コツ・ポイント
ご飯を炊くときは少し柔らかめに炊きます。その後、しっかりと押し固めて薄くし、冷蔵庫で一晩冷やすのがポイントです。190度の高温で揚げることにより、周りはサクッと、中はモチッと仕上がります。クリスピーな食感に仕上げることで、上にのせる素材とのコントラストが出て、おいしくなります。
マッシュルームと黒米のスープリゾット
特長
黒米とキノコ類の食感と、グリュイエールチーズの風味が一体となったスープリゾット。あまりメインになることのない黒米をクリスピーにカラ炒りしてからリゾットに仕立てているので、食べ始めはカリッと、食べ進むにつれてスープを吸った黒米の食感が変わっていくのが楽しいひと皿です。ハーブ入りのクリアスープに浮かぶ、キノコそれぞれの食感もおもしろく、しっかりと炒められたキノコの風味と、グリュイエールチーズの香りがさらに食欲をそそります。
コツ・ポイント
黒米はしっかりと乾煎りし、香ばしさを出すこと。キノコはオリーブオイルで炒めます。より風味豊かに仕上げるよう、水分を飛ばしながら焼き目をつけてください。キノコは手に入るものなら何でもいいですが、何種類かを組み合わせたほうが、それぞれの食感の違いも楽しめます。
明日の才能、未知なる美味を発掘する
2013年に幕を開けた、新時代の若き才能を発掘する日本最大級の料理人コンペティションRED U-35 (RYORININ’s EMERGING DREAM)。夢と野望を抱く、新しい世代の、新しい価値観の料理人(クリエイター)を見いだし、世の中に後押ししていくため、これまでの料理コンテストとはまったく異なる視点で、日本の食業界の総力を挙げて開催する料理人コンペティションです。
2016年大会へのコメント
日本は海外に比べて若い料理人に与えられるチャンスが少ない。そんな中で、RED U-35は若い料理人を輝かせる希望の光であると考えています。RED U-35に挑戦することは、自分の将来が開けるだけではなく、ほかの料理人へ希望を与えることにもつながり、料理界全体を盛り上げることでもあるのです。いずれは自分で店をもちたい、世界に冠たる料理人になりたいと考える志のある若き料理人を待っています。
村田吉弘
菊乃井 主人
RED U-35 プロジェクトメンバー
RED U-35 2015・2016 審査員
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審査員
村田吉弘
菊乃井
主人 -
審査員
門上武司
フードコラムニスト
雑誌「あまから手帖」編集顧問 -
審査員
脇屋友詞
Wakiya一笑美茶樓
オーナーシェフ -
審査員
田崎真也
ソムリエ
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審査員
山根大助
ポンテベッキオ
オーナーシェフ -
審査員
辻芳樹
学校法人辻料理学館
辻調理師専門学校
理事長・校長 -
審査員
狐野扶実子
料理プロデューサー・コンサルタント
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審査員
山本征治
龍吟
オーナーシェフ -
審査員
須賀洋介
SUGALABO Inc.
代表
RED U-35 総合プロデューサー
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総合プロデューサー
小山薫堂
放送作家
RED U-35 発起人
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発起人
岸朝子(故人)
食生活ジャーナリスト
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発起人
滝久雄
株式会社ぐるなび
代表取締役会長