名店のまかないレシピ

ナレーシ・クマール / オールドデリー 家庭でできる本場の味 簡単!骨付きチキンのインドカレー

東京にあまたあるインド料理店の中でも食通を満足させる味を提供し続ける名店が、銀座のオールドデリー。かつて、北インドのニューデリーにある5つ星ホテル「リ・メリディアン」のレストランで腕を振るっていたナレーシ・クマールシェフが、日本人に合う味を徹底追求。その味の確かさは、『ミシュランガイド東京 2016』から2年連続ビブグルマンの店として掲載されたことからも証明されています。人懐こい笑顔も魅力のクマールシェフが、とっておきのまかないレシピを紹介してくれました。

「日本人が好むインド料理」を目指して

「日本人が好むインド料理」を目指して

レストランで働き始めたのは15歳の時。8年ほど母国インドのレストランで働きました。最後にいたのは5つ星ホテルにあるレストラン「リ・メリディアン」です。日本で本格インド料理店を出すためのオープニングスタッフとして呼ばれたのがきっかけで来日することに。オールドデリーが銀座にオープンしたのが1998年ですから、ちょうど今年で20年目の節目を迎えることになります。

私も日本での暮らしが長いので日本語も結構上達しました。そして、舌もすっかり日本人の舌に(笑)。普段の食事はなんでもいただきます。特に好きなのは寿司で、最近は小籠包が気に入っていました。「日本人が好む味」というのが自分の感覚として分かるようになってからは、店のメニューを考える上でも自信を持って取り組めるようになりました。

日本に来て間もない頃は、日本人の味覚が理解できず、インドの味そのままを再現して失敗したことも。同じスパイスでも、インドで好まれる使い方と日本で親しまれる使い方は全然違うことに気づいたんです。いろいろ作って試しながら、日本人スタッフに食べてもらって納得のいく味に仕上げていきました。

はじめの頃、とても苦労したのは「同じ味を何度でも再現すること」。インドでは、シェフそれぞれのさじ加減で同じメニューでも微妙に味が変わってしまうのが普通のこと。日本では同じ店で味にムラがあることは許されないことを教えてもらい、インドから呼んだ仲間のシェフにも何度も説明しました。結果、日本のお客様に何度も足を運んでもらえるようになったことはとても嬉しいですね。

まかないカレーはタマネギとスパイスを控えめに

まかないカレーはタマネギとスパイスを控えめに

まかないは1日1回。当店は昼夜通し営業なので、スタッフ全員一緒に食べることは普段はできませんが、ランチのお客様が少し落ち着いてから交代でいただいています。登場頻度が多いのはやはりカレーですね。お客様に出しているカレーとちょっと違うのは、タマネギとスパイスの量。お客様のために作るカレーには水はほとんど使わずにじっくり炒めたタマネギから出る水分をベースにしていますが、まかない用のカレーは水を加えるので少しサラサラ。スパイスの使い方も簡略化しています。北インドの家庭の味に近い作り方なので、真似しやすいレシピだと思いますよ。

今日食べている骨付きチキンのカレーのほか、よく食べるのはインド人が好きな豆のカレー。カレー以外ではチャーハンを作ることもあります。

母国インドのレストランにもまかないはもちろんありますよ。私が働いていたような高級ホテルやある程度の規模のレストランには、従業員用の食事を出す建物が別にあることが多いんです。日本に来てからの方が、よりアットホームなまかないの習慣になりました。

私が初めて日本に来た頃には、スパイスの知識がある日本人はあまりいませんでした。今では豊富な種類のスパイスが手に入りやすくなりましたし、もっと気軽にインド料理を作ることにトライしていただきたいですね。親しみやすく本格的な味を提供し続けられるよう、私も努力を重ねていきたいと思います。

簡単!骨付きチキンのインドカレー と クミンライス

簡単!骨付きチキンのインドカレー と クミンライス

コツ・ポイント

簡単!骨付きチキンのインドカレーは、まずクミンシードをしっかり炒めることで香りを出します。タマネギをじっくりと炒めて甘みを出すように。使う素材の旨みや風味を引き出すこともポイントです。

クミンライスは、日本の国産米を使っても、強火でサッとご飯の水気を飛ばすことで、インドカレーに合う食感になります。フライパンにご飯を入れるタイミングは、クミンシードの香りが立ってきたのを確認してから。

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  • 文:宮本恵理子
  • 写真:平瀬夏彦