発酵特集

桂シェフのテーマ食材 「味噌」
桂有紀乃シェフ
1984年11月27日 埼玉県生まれ。
フランス料理
ザ・プリンス パークタワー東京 料理人 (2017年6月現在)
2005年ザ・プリンス パークタワー東京に入社後、 「レストラン ブリーズヴェール」に勤務。 2014年 ニューヨークを代表するトップシェフ デイビッド・ブーレイ氏のフレンチレストラン「Bouley(ブーレイ)」での研修でブーレイ氏に感銘を受け、 氏による指導のもと新たな食材探しの旅に出るなど、 食材とパフォーマンスの探求を続けている。
食材の味を引き立たせ、旨味を増す味噌を使った料理。
《味噌 その1》ホイップ味噌バター
白味噌と赤味噌(辛味噌)という味わいが異なる味噌を使用した料理を、2種類作ってみました。味噌は日本の家庭には欠かせない伝統の調味料ですが、どんどん消費量が減っています。その一方で、医学的にも味噌は体に良い食材であると実証されてきています。味噌汁だけではない新しい食べ方を、洋食のやり方で提案したいと思いました。
味噌をはじめ、麹を使った発酵食品とバターの相性の良さには以前から注目していました。味噌とバターだけでもおいしいのですが、白味噌の甘味にヨーグルトを加えることで優しい酸味が増します。また、ホイップすることで風味が口の中に広がります。パンやパンケーキ、クラッカーなどの洋風の主食に、とてもよく合うディップです。
「ごはんと味噌汁」という定番と同じように、「パンと味噌バター」という組み合わせが、週に数回日本の食卓にあがる日があってもよいかと思います(笑)。

《味噌 その2》米茄子のステーキ 赤ワイン田舎味噌
2014年、私はニューヨークにあるフレンチレストラン『Bouley(ブーレイ)』に研修に行きました。今でも年に数回現地に料理を学びに行っています。ニューヨークのトップシェフであるブーレイさんは、毎日自ら鰹節と昆布で出汁をひくなど、和の食材を巧みに料理に取り入れていらっしゃる方で、日本人の私も驚かされることが度々ありました。例えば、赤ワインとポルト酒を煮詰め、味噌を加えたソースでナスをグラタン仕立てにして、羊料理のつけ合わせにしていたことがあるのですが、味噌と赤ワインはびっくりするほどよく合うことを知りました。
この料理は、見た目はナスの肉味噌田楽風ですが、食べていただければ、えっ!和食ではない、と驚かれる料理だと思います。ぜひ赤ワインを傾けながら、パンと一緒に味わっていただきたいですね。
日本の各地で出会う未知の食材に刺激され続けたい。
昨年『RED U35』では、発酵の料理がテーマでしたが、とりわけ日本古来の味噌やお酢など発酵食品に興味が尽きない私には、願ってもないテーマでした。今も休みがあれば日本各地に出かけ、その地元ならではの調味料や食材との出会いを探し求めています。未知の食材に出会うと、料理のアイデアが湧いてきますし、料理人として最も大事な機会だと感じております。料理人である前にひとりの人間として、地球と人々が育む恵みに感謝をして、これからも各地を飛び回り成長していきたいです。
桂シェフの「味噌」レシピ
ホイップ味噌バター
特長
西京味噌とも呼ばれ、関西ではポピュラーな白味噌は、麹のまろやかな甘みが特徴の美しい色合いの味噌。その上品な味わいとバターに、ほんのりとした酸味を感じさせるヨーグルトの相性の良さに驚かされる軽いディップです。シンプルなバゲットはもちろん、ナッツやドライフルーツ入りのパンにもぴったり。またパンケーキやクラッカーにもよく合います。
コツ・ポイント
バターを柔らかくすることが、おいしく作るいちばんのコツ。慌ててレンジなどで溶かすと分離してしまうので、室温に置いてマヨネーズほどの柔らかさにしてから、味噌やヨーグルトと混ぜること。保存もできます。
米茄子のステーキ 赤ワイン田舎味噌
特長
こんがり焼いた米茄子に肉味噌……見た目は和食でおなじみ、茄子の田楽風ですが、一口食べてビックリ。赤ワインの風味と熟成味噌の旨味をしっかりと吸収した肉味噌がふくよかで、止まらないおいしさです。和食のカタチ+フレンチの繊細な手法の幸せなコラボレーションが息づくひと皿です。
コツ・ポイント
おいしく仕上げるコツは、ひき肉をカラカラになるまで水分を飛ばして炒めること。そこへ赤ワインを注ぐと、肉が一気に膨らんでワインの風味が閉じ込められ、色も赤みがかったきれいな肉味噌に。

明日の才能、未知なる美味を発掘する
2013年に幕を開けた、新時代の若き才能を発掘する日本最大級の料理人コンペティションRED U-35 (RYORININ’s EMERGING DREAM)。夢と野望を抱く、新しい世代の、新しい価値観の料理人(クリエイター)を見いだし、世の中に後押ししていくため、これまでの料理コンテストとはまったく異なる視点で、日本の食業界の総力を挙げて開催する料理人コンペティションです。
2017年大会へのコメント
歴代のレッドエッグ受賞者を見れば明らかであるように、このコンペティションで問われるのは“基本”です。
それは、料理に対する知識や技量のみならず、社会人として身につけておくべき知識や礼儀なども含みます。
挑戦者には、奇をてらうことなくこの“基本”に忠実に、その上で“個”というものを表現していただきたいのです。
ためらっていては何も始まりません。とにかくチャレンジしてください。
若き才能の挑戦を待っています。
脇屋友詞
Wakiya一笑美茶樓 オーナーシェフ
RED U-35 プロジェクトメンバー
RED U-35 2017 審査員
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審査員長
脇屋友詞
Wakiya一笑美茶樓
オーナーシェフ -
審査員
落合務
La BETTOLA
オーナーシェフ -
審査員
田崎真也
ソムリエ
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審査員
德岡邦夫
京都 𠮷兆
総料理長 -
審査員
千住明
作曲家
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審査員
辻芳樹
学校法人辻料理学館
辻調理師専門学校
理事長・校長 -
審査員
鎧塚俊彦
Toshi Yoroizuka
オーナーシェフ -
審査員
狐野扶実子
料理プロデューサー
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審査員
生江史伸
レフェルヴェソンス
シェフ -
審査員
黒木純
くろぎ
主人
RED U-35 総合プロデューサー
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総合プロデューサー
小山薫堂
放送作家
RED U-35 発起人
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発起人
岸朝子(故人)
食生活ジャーナリスト
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発起人
滝久雄
株式会社ぐるなび
代表取締役会長 CEO
創業者